2021/06/18 21:36

BEAKSインタビューvol.2
胡弓奏者 倉本由美子さん

梅雨の走り、草木が露を含み
生き生きとする季節に、
石川県白山市にある胡弓奏者

倉本由美子さんのお稽古場に伺った。

淡い紫の藤の花が大胆にあしらわれた
お着物をお召しの倉本さんが、
笑顔で我々を出迎える。
華やかで凛とし、師匠としての品格が
滲み出ているような佇まいが美しい。
倉本さんは胡弓の先生としてキャリアを
スタートさせて30年近くになるそうだ。

 

はじめは歳を重ねるにつれ
極めていくことのできる趣味として、
三味線を始めたことがきっかけだった。

その後福井「越中八尾おわら風の盆」でも
有名な、幻想的でもの悲しい独特の
音色を持つ胡弓に触れ、練習を始めた。

思いがけない縁で、すぐに北國新聞文化
センターでの講師を努めることになり、
それからずっと胡弓の先生として生徒さんを
抱えながら演奏活動をしている。

「胡弓の魅力は、なんと言っても
その哀愁のある音色。感性で奏でる
楽器だからこそ、その味わい深い音色に
皆さん感動するんですよ。」と倉本さん。

生徒さんへのお稽古だけでなく、
お稽古場でのミニ演奏会や、
高齢者施設への慰問などにも
活動を広げているそうだ。



「高齢者施設では美空ひばりの
『悲しい酒』や『川の流れのように』
などを演奏すると、皆さん涙を
流して喜ばれるんです。
本当に音楽の力はすごいと痛感しますし、
やっていてよかったなぁと感じる瞬間です。」

現在はコロナ禍で活動も
ままならないそうだが、
倉本さんはオリジナルの楽曲作りや
ポップスの演奏、洋楽器との
コラボレーションなどにも
精力的に挑戦し続けている。

そんな倉本さんもBEAKSの愛用者だ。
三味線や胡弓は特に梅雨から
夏にかけての管理が大変だという。
夏場10分車内に置いておいただけでも
簡単に表面が割れてしまう繊細さ。
湿度と乾燥の急激な変化に弱いため、
いつもシリカゲルで凌いでいたそうだが、
珪藻土という自然素材でできている
BEAKSを知りすぐに注文したという。

「胡弓はすべて自然の素材で
できているため、珪藻土のように呼吸する
自然素材の乾湿剤を使用した方がきっと
楽器に良いのではないかと感じたんです。」

BEAKS
は珪藻土プロダクトブランド
soil」とのコラボレーションで誕生した。

100%天然の素材で、緩やかに乾燥と
湿気から楽器を守ってくれる。

倉本さんにとって「胡弓」は
自身の一部であり、かけがえのない楽器。
そんな大切な楽器を守る相棒として

BEAKSを選んでくださったことは
この上なく光栄なことである。




軽やかに胡弓を手に取り
演奏くださった「アメイジンググレイス」には
BEAKSメンバー一同心が震え、思わず涙がでた。
倉本さんと我々が胡弓を通して繋がり、
響きあった瞬間だった。

「型にとらわれず、たくさんのことに
挑戦していきたい。私が目指す完成形は
まだまだ先にあるんです。胡弓はその存在を
知らない人も多いけれど、れっきとした日本の楽器。
着物などと一緒に日本の文化として
広めていくことができたら。」

そう話す倉本さんの目は
未来を見据えて優しく輝いていた。


インタビュアー:中山雅人/原嶋なつみ
文:原嶋なつみ 撮影:北川徹郎